映画「七つの会議」感想(ネタバレあり)
実は2週間前に見てきたんです。
何故このタイミングで感想記事を書くかというと、ずっと頭から離れないんです。
歯を磨いててもテレビをボーッと眺めてても頭の片隅にスーツ姿の野村萬斎がチラつくんです。
もうそれただの野村萬斎ファンじゃねぇか、って感じですよね。そうじゃなくて、いやまだ半分はそうなんですけど。
久々にこんなに面白い映画を観たなと思いました。
面白いの基準って色々あると思うんですけど、私の場合はその世界にどっぷり浸かれるかどうか。それはfunnyの方の面白いでも同じです。終わってみたらあっという間だったとか、元気になってたとかそんな感じです。
今回はもうどっぷり世界に入ってました。
つまらない映画を観てる時って「何時までに家に帰らなきゃ」とかその後の予定が頭に浮かんでくるんですよね、集中してないから。
今回はそれがなかった、というかその暇もなかった。
長々と書きましたが、ここからネタバレありの感想です。未視聴の方は是非劇場で。
↓あらすじ
都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員”。
トップセールスマンである課長の坂戸宣彦(片岡愛之助)からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果たさず、定例の営業会議では傍観しているのみ。
絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。
ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。
そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島万二(及川光博)が新課長として着任する。会社の“顔”である一課で、成績を上げられず場違いにすら感じる原島。
誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。
だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた…。
最初は八角マジ最低人間だな、と本気で思ってたんですよ。実は八角はぐうたら社員じゃなかった、という展開になることは予告からも薄々感づいていたのに、野村萬斎の演技がうますぎて胃がムカムカしてくるんですよね笑
だってあの態度ですよ。片岡愛之助演じる坂戸が頑張ってるのに自分はさっさと帰る。
坂戸だけならまだしも周りみーんな残業してるのに…。いかんいかんこれは同調圧力ですよね。でも私だったら出来ないなぁ。居場所がなくなってしまう。
まぁ八角は居場所なんてどうでもいいので屁でもないみたいですが。
私はどっちかといえばミッチー(及川光博)タイプですかね。にしてもゲロゲロ吐いてたなあ。
私のミッチーのイメージは相棒の神戸くんなのであんなに弱々しいミッチー初めて観ました。
またミッチーがいい人なんですよね。この濃ゆいメンツの中で原島さんがいい癒しになってました私の中で。
濃ゆいメンツの中で一際異彩を放っていたのが、藤森慎吾演じる経理部の新田。
前からツイッターで「七つの会議の藤森やばい」みたいなツイート死ぬほど見たんですよ。
「え?あのアッチャンカッコイー!!」の藤森じゃないの?どうした大丈夫か(何が)、という気持ちが抑えられなくなりました。
観に行こうと思ったきっかけのひとつです。
前評判の通りヤバかったです。演技上手すぎやろ…不倫相手に土下座するところなんてめちゃくちゃ無様で最高でした(褒めてる)
八角の接待金の不正利用の件で、営業部に意気揚々と乗り込んで行ったのに返り討ちにされたところは不憫で見てられなかった。
東北支社に飛ばされてしまい退場が早かったですが、もっともっとこういう演技観たいなぁと思いました。
ここまで来ると「八角さん、アンタどんだけやらかしたん…」と心配になってきたんですけど、やらかしたのは会社でしたね。
八角さんめっちゃいい人。ごめん疑って。
あと吉田羊も最高。恋雨(恋は雨上がりのように)の時から大好きです。何でこんなに愛で包み込むような役が似合うんですかね。帰ってきたら吉田羊におかえりって言われたい人生でした。
ドーナツ泥棒の件がトーメイテックとの取引にまで繋がるとは思いませんでした。
八角の回想シーンのほんの一瞬に溝端淳平が配されるなんて思いませんでした。まじであのシーンだけなんだ…
営業って大変ですよね。仕事として例えその商品の悪い部分を知っていても「この商品がNo.1です!」と言って売らなければならない。
それが仕事だからといえばそうなんですけど厳しすぎるノルマに心を殺さないとやっていられなさそう。
ノルマを達成する為の汚いやり方に抗ったのが八角、抗わない選択を取ったのが北川。
その選択は2人の未来を大きく変えてしまいましたが、最終的にはお互いの力を合わせて立ち向かいます。
覚悟を決めた香川照之さんの男泣きが素晴らしかった。本当にいるだけで絵面が締まりますよね。
東京建電の社長役の猪爪功さん、私の中でゆる〜いお爺ちゃんってイメージなんですが(失礼)、物凄く迫力があった。
部下に命令する時の社長としての顔と、親会社のゼノックスに対する態度の差がありすぎて「あぁこの人も上には逆らえないんだな」と悲しくなりました。
結局、みんな上からの圧力に怯えていて、世間からの目に怯えていて。
大きい会社になればなるほどその闇は深くなっていくんですかね。
最終的には社長まで隠蔽しようとするし…
まぁそのおかげで八角北川コンビの逆襲が盛り上がったわけなんですけど。
でも社長は居座ったままらしいですね。これじゃ変わらないかもなぁ。
最後の取り調べシーン、まさかここでも隠蔽…!?と思ってしまいました。隠蔽に慣れすぎて笑
最後の最後に役所広司を出すところがいいですねぇ。感情の読めない表情が怖かった。
この映画の1番の魅力はキャスト陣だと思います。誰一人として下手な人がいない。みんながみんなその役になりきっていた。
御前会議のシーンは手に汗握って観てました。
間の取り方、表情、声のトーン、何もかもがその雰囲気を1ミリも壊していない。
凄い役者を集めたな、と思います。
もう一つその雰囲気作りに一役買ってるのが音楽。
エンドクレジットで見たら音楽担当は服部隆之さんなんですね。どうりで緊迫感が崩れないはずだ。
主役の野村萬斎さんの演技を観たのはこれが初めてだったんですが、所作が美しくて虜になりました。あとスタイルがいい。全身を映すシーンガン見しちゃった!
家でひとりで懺悔?しているところはギャップにやられました。八角頑張れ(単純)
この役は野村萬斎さんじゃなきゃ務まらなかったと思います。
もう一回観に行こうかなぁ。
4月から社会人になる身としては胃がキリキリしましたけど笑笑
池井戸潤作品の映像化はそんなに好みじゃなかったんですがこれはヒットでした。
音尾さんもバッチリ出てましたね。ポスターや予告の割に出番少なかったけど…(コソッ)
タイトルの「七つの会議」の通り順番に数えていったら本当に会議が七つありました。すげえ。
訂正: パンフを見てみたら「沢山の会議の総称であり、会議の数を示しているわけではない」らしいです…あれ?笑