小さな村の世代を超えた物語「HONOR〜守り続けた痛みとともに〜」 感想
お久しぶりです。
この間のPARAMUSHIR放送に合わせて、WOWOWに加入しました。
その時に過去公演も放送したので録画して改めて観たところ、「HONORやべえ」ってなったので感想をあげたいと思います。(遅い)
この物語は北海道恵織村のお話です。
あらすじは引っ張ってきましたので下記をどうぞ。
物語の舞台は、北海道のとある小さな村“恵織村”(えおりむら)。
アイヌ語で「名誉」の意味を持つこの村では、毎年、神木に祈りを捧げ、一年の平和を願う祭りが開催されていた。
終戦後、五作が村へ帰ると、村祭りの会場で事故が起きていた。それからというもの、この村で祭りが行われることはなくなり、やがて村の人たちは神木のことすら忘れていく。そしてただひとり、五作だけが、山にこもり神木を守り続けていた。
時が経っても、不思議な話ばかりする五作を、大人たちはホラ吹きと疎ましく思うようになっていた。だが、門田、光太、花男、秀一の4人の小学生だけは別だった。彼らは五作の話に耳を傾け、空き地で太鼓職人の五作から太鼓の手ほどきを受ける。しかし中学、高校と、成長するにつれ五作との距離は遠のき、そのかわり彼らはバンド活動に熱中していく。そして高校卒業と同時にやってくる別れのとき。彼らは、別々の人生を歩むことになる。2007年、彼らは33歳になっていた。五作が倒れたという知らせを受けて、久しぶりにふるさとで再会した4人。すっかり寂れてしまった村に驚いた彼らは、恵織祭りを復活しようという話で盛り上がり、五作のホラ話のなかでも一番スケールの大きかった話を実現させようとする。
私が最初にこれを観たのはBlu-ray boxを買った時でした。LOSSERから悪童までの6作品の中で一番最後に観た作品です。
なぜ1番最後かというと、どんなテーマかわかりづらかったから笑
他のは大体分かるんですよ、「新撰組だなー、音楽家だなー家族ものだなー」って。
HONORってあらすじ見ても、言い方悪いですけどフワフワしてる感じがしてよく分かりませんでした。
まあでもせっかくあるし、ファンから名作と言われてるらしいから見よっかなと思いまして1年くらい前ですかね、観ました。
初見の感想としては「うん?待ってこれいつからいつまでの話なの?」
何しろ3世代に渡るお話だから展開が早い早い。シゲさんの孫が音尾さんで、えっさっき出てきた人とは別か!みたいな。
5人しかいないというハンデ(むしろ私は5人だけの舞台が好きなので全然いいんですが)からか、はたまた私の理解力のなさか。
なので「最後の太鼓かっこいいなー」くらいで特に何も思わなかったんですよね。
ただ、劇中歌はHONORが1番好きで、本公演の時にサントラを買ってしまったくらいです笑
そして今回、改めて観ました。
もう鳥肌、感動がやばい。
名作でした。名作というかスケールが大きい。
よくこんな濃密な話を2時間にまとめたなぁと思いました。
初見では理解できなかった冒頭のシーン。
年老いた彼らは今でも太鼓を続けてるんですよね。この、冒頭のシーンから過去に遡ってまた同じシーンに戻ってくる、という構成は、PARAMUSHIRと似てましたね。
東京に出た4人が電話をするシーン。
私が今社会に出ようとしている大学生だからか分かりませんが、胸にきました。
中々本音で話せないんですよね。
それは恥ずかしさもあるし、なにより見栄を張りたいからっていうのもあると思います。
それから、それぞれのうまくいかなさ加減がリアル。社会人経験のあるリーダーだからこそですかね。
花男くんにだけでかい白樺が送られてきたのには笑いましたが、一生懸命育ててましたね。
少し戻りますが、戦争で五作が招集されるシーン。どことなく桜庭さんと被ってしまい、ツイッターで「五作と桜庭さんはどこかで出会ってたのかも」という意見を観た時にあぁ繋がってるのかも…なんて思ってしまいました。
今回の女装No.1は間違いなく花ちゃんですね笑
めっちゃ綺麗。あとセクシー。
これはずるいわ。おかまじゃないよ、完璧な女性に見えました。
勿論ちえもモリ子も好きなんですけど!
特にちえは本当にいそうな女の子って感じがして音尾さんが「ウチの看板女優」と絶賛されるのも納得です。
私が1番好きなシーンが秀一と亡くなった五作が対面するシーン。
ここが好きで何回も観ています。
ここがこの2人っていうのもまたいい味を出してるんですが。
「死んだ人に会えるのは心が綺麗な正直者だけ」という設定がいい効果を生んでましたね、寺の息子は嘘つかないもん!
ここの大泉さんの演技が素晴らしい。
キャラクターで言ったらもっと好きなキャラはいますけど、大泉さんの好きな演技はって聞かれたら間違いなくここです。
はなちゃんから訃報を聞いたときの「そっか…しっかりね、花男くん」が、電話の向こうではなちゃんが泣き崩れているのが見えました。
自分が相対している五作さんはもうこの世にはいないと分かってからの気持ちが抑えられない感じがもうもらい泣きしそうです。
途中までは明るく話すんですよね、でも堪え切れなくなって、
法被を見せながら「みんなでまた太鼓叩こうよ……!!」
ここがもう!!!もうだめ……
叩こうよ、の声の震え具合が、でも叫ばずにはいられない切なる思いが伝わってきます。
それをとても穏やかな笑みで見つめる五作さん。もうどうしようもない現実を実感させられてしまう。
あぁもう本当に好きです。ここからラストシーンまでの流れが完璧すぎる。
太鼓シーンの花男くんが五作さんを見る表情でより気持ちが揺さぶられます。
そして本当のラスト。
「ひさびさに大きな声でも出しますか!」
「「「たまやーーー!!!!」」」
ちえー五作ー!良かったねー!!
こんなに心を揺さぶられる物語だったとは…!
リーダーすごすぎる。
これがあの舞台の中で展開されていたとは。
ただやっぱり展開上分かりづらい部分もあったので、アンサンブルの方がいたらもう少し理解しやすかったかなぁと思わないでもないです。
でも私的には5人だけの舞台にとても惹かれるので…うーん難しい
これがPARAMUSHIRから10年前に作られたこと、五作さんが亡くなってから50年経っていること、あの寄せ集め部隊が散ってから50年経った時に慰霊に行けたこと。
偶然かもしれないけどそうじゃないかも。
不思議な繋がりを感じてしまいます。
次は下荒井の感想書きたいなぁ。